デザインをするときに覚えておくと便利な心理学があることをご存知ですか。
この記事では、デザインをする際に覚えておくと便利な心理学を10個紹介します。
心理学をデザインに活用することで得られるメリット
まずは、デザインで心理学を使うことで得られるメリットについて紹介します。
理論的なデザインができる
広告やWebサイトなどのデザインをする際には、「商品の認知度を上げる」、「サービスの登録者数を増やす」など必ず目的があります。
それらの目的を達成しなければならないのに、「なんとなくかっこいい」、「そこはかとなくおしゃれ」というような理由でデザインをしていては意味がありません。
目的を達成するために、どのようなデザインにするべきか理論的に考える必要があるのです。
そんな時に、心理学の理論や技法をデザインに活用すれば、広告やWebサイトの目的を達成する確率を増やすことができます。
また、クライアントの前でプレゼンをする際に、デザインの意図や効果を理論的に説明することができるようになるので、デザインに説得力を持たせることもできます。
他人が制作したデザインを分析できる
デザインに心理学が活用されていることはよくあります。
例えば、電車の中吊り広告やあなたがよく使うサービスサイトにも、何かしらの心理学が活用されていることでしょう。
デザインで使われる心理学を覚えておくと、それらのデザインの意図や目的を分析できるようになります。
「なぜこのようなデザインにしたのか」、「どうしてこのデザインはグッとくるのか」など、デザインの理由を細かく分析できるようになるので、デザインを見る目も養うことができるでしょう。
次のステップから、デザインで使える心理学について紹介します。
デザインで使える心理学①画像優位性効果
画像優位性効果とは、文字や言葉よりも、写真やイラストの方が記憶に残り、認識されやすい現象のことです。
日本のことわざの「百聞は一見に如かず」に近いといえるでしょう。
画像優位性効果を使うメリット
画像優位性効果を使うメリットとしては以下のことが挙げられます。
- 記憶に残りやすい
- イメージを具体的に伝えられる
- 瞬時に情報を伝えられる
画像を使った資料は、言葉とは違ってイメージを瞬時に、具体的に伝えることができます。
また、「ブレイン・ルール」という本の著者であるジョン・メディナ氏の実験によると、言葉だけのプレゼンでは72時間後に、そのうちの約10%しか記憶に残らないが、これに絵を加えると約65%が記憶に残るようになるとのことです。
デザインでの実践例
画像優位性効果は、以下のようなものをデザインするときに効果を発揮します。
- プレゼンテーション
- 商品の紹介ページ
プレゼンテーション
講演会や新商品のプレゼンテーションを行うときの資料に、文章が多いと理解するのに時間がかかり、文章を読むのと同時に説明を聞いて混乱する可能性があります。
講演会や新商品のプレゼンテーションを行うときの資料は、画像や図・イラストを使い、文字は必要最低限にしておくとよいでしょう。
商品の紹介ページ
商品の紹介ページには、画像を入れた方が商品のイメージを伝えやすくなります。
商品の色や形など、基本的なことを文章にしなくとも伝えることができ、細部の特徴までも一目でユーザーに伝えられるというメリットがあります。
デザインで使える心理学②色彩心理効果
色には冷静、ポジティブ、信頼、高級などあるイメージ感情などを喚起させる効果があります。
色彩心理効果とは、色の持つイメージを使うことで、デザインを見た人が受け取る印象を操作するテクニックのことです。
色が持つイメージの例
色が持つイメージには以下のようなものがあります。
- 白・・・純粋、清潔、正義
- 黒・・・高級感、重厚感、威厳
- 赤・・・情熱、活力、高揚
- 橙・・・喜び、活発、明るい
- 黄・・・愉快、希望、無邪気
- 緑・・・癒し、安定、健康
- 青・・・知的、誠実、爽快感
- 紫・・・優雅、妖艶、神秘
デザインでの実践例
ここでは、上記の色の持つイメージをデザインに応用した例を紹介します。
赤:POPやパッケージ
情熱や活力というイメージを持つ赤には、見た人の行動を促す効果があります。
そのため、購買意欲を促進させるために、店舗で使用されるPOPや商品のパッケージは赤を使用することが多いです。
青:企業ロゴやコーポレートカラー
青色は誠実、知的、信頼などのイメージを持っています。
そのため、多くの企業が誠実さや信頼感を表現するためにロゴやコーポレートカラーに青を使用しています。
橙:飲食店のインテリアやWebサイト
橙は上記で紹介したイメージ以外にも、見た人の食欲を増進させたり、元気づける効果があります。
そのため、飲食店のインテリアやWebサイトでは橙を使用するとよいでしょう。
デザインで使える心理学③系列位置効果
系列位置効果とは、複数の情報を記憶する際に覚える順番によって、記憶の残りやすさに差が出ることをいいます。
最初と最後に記憶したものは途中で記憶したものよりも、記憶に残りやすいといわれています。
系列位置効果は、最初に記憶したものが覚えやすい「初頭効果」と、最後に記憶したものが覚えやすい「親近効果」に分けられます。
初頭効果
最初に見る情報が記憶に残りやすい現象のことです。
長期的に記憶に残るのが特徴で、第一印象が人のイメージを作るのは初頭効果が関連しているといわれています。
親近効果
最後に見る情報が記憶に残りやすい現象のことです。
初頭効果と違って、短期的に記憶に残ります。
そのため、複数の案をプレゼンした場合、最後に提示された案が採用されやすくなるといった現象が起こります。
デザインでの実践例
系列位置効果を意識したデザインには以下のようなものがあります。
特徴やメリットを一番最初に表示する
初頭効果を活用する方法として、Webサイトの一番最初に商品の特徴やメリットを表示することが挙げられます。
Webサイトを閉じた後も記憶に残るため、ユーザーの印象に残したい商品のメリットやメッセージを表示するとよいでしょう。
購入を促す情報は最後に表示する
「送料無料」や「お試し期間有り」などの商品の購入を促す情報は、一番最後や購入ボタンの前に表示することで親近効果が働き、商品の購入につながりやすくなります。
CMの最後に「今購入すると○○が当たる」などのキャッチフレーズが使われるのも同様だと考えられます。
商品を人気順に並べる
商品を人気順に並べることは、ユーザーに好印象を与えることがあります。
人気商品とは多くの人が気に入る、もしくは好きな商品であるため、それらが一番最初表示されるのはユーザーに良い初頭効果を与えられます。
デザインで使える心理学④矢印効果
矢印を使って、 人の目線を誘導できることを矢印効果といいます。
矢印を配置するだけなので、多くのデザインで使用されます。
矢印効果を使うメリット
矢印効果には以下のようなメリットがあります。
- 因果関係を簡単に示すことができる
- 手順や順番を簡単に示すことができる
- 人の目線を注目してほしい箇所に誘導できる
デザインでの実践例
矢印効果の実践例には以下のようなものがあります。
購入ボタン、登録ボタンへの誘導
商品やサービスを紹介するWebページでは、購入ボタンや登録ボタンへ視線を誘導させるために矢印効果を使用することが多いです。
商品をどこから購入すればいいのか、どこからサービスに登録すればいいのか分かりやすく伝えることができます。
サービスの登録手順の表記
サービスを登録するのに、いくつかの手順を踏まなければならない場合は、矢印効果を使ってデザインすると分かりやすくなります。
デザインで使える心理学⑤ホワイトスペース効果
ホワイトスペース効果とは、デザインに余白を入れることで伝えたい情報を強く印象づけることができるテクニックのことです。
白色だけでなく、黒や赤など他の色の場合でもその部分が余白であれば、ホワイトスペースと呼ばれます。
ホワイトスペース効果でできること
ホワイトスペース効果を使うと以下のようなことが可能になります。
- 情報を目立たせることができる
- 情報をグループに分けることができる
- 抜け感や緊張感を演出できる
- 視線を誘導することができる
デザインでの実践例
ホワイトスペース効果の実践例は以下のようなものがあります。
余白を作るだけでグループ分けされているように見える
画像のように、オブジェクトの間に余白を作るとグループ分けされているように見えます。
複数の情報を見せるときは、関連しているものを近くに配置して適度に余白を作ることでより伝わりやすくなるのです。
文章を読みやすくする
文章にも適度な余白を入れることで、可読性が上がり情報が伝わりやすくなります。
これは、図や写真も同様で余白を効果的に入れることで伝わりやすいデザインを作成できます。
デザインで使える心理学⑥ザイアンスの効果
ザイアンス効果とは、接触する回数が増えるほど好印象を持つようになる効果のことです。
単純接触効果ともいわれます。
ザイアンス効果の注意点
接触する回数を増やすだけで、好印象を得られるザイアンス効果ですが以下のような注意点もあります。
- 第一印象が悪いと逆効果になる
- 接触する回数が多すぎると逆効果になる
デザインでの実践例
ザイアンス効果をデザインで実践する例として、ランディングページの購入ボタンが挙げられます。
ページの最後にのみ購入ボタンを設置するのではなく、各見出しの最後に購入ボタンを設置するなどの工夫をすることでクリックされる確率が高まります。
デザインで使える心理学⑦コントラスト効果
コントラスト効果とは、2つのものを対比させた時に印象が大きく変わる心理現象のことです。
ギャップがあるといえば分かりやすいかもしれません。
コントラスト効果の具体例
例えば、15万円する時計があるとします。
この15万円の時計だけを見ると高く感じるかもしれませんが、隣に200万円の時計があると比較的安く感じます。
このように、商品を単体で紹介するのではなく比較対象を作ることで印象を良い方に誘導することができます。
デザインでの実践例
画像のように緑の背景の画像に赤色のボタンを配置することでボタンを目立たせることができます。
この他にも、背景の彩度を下げてボタンの彩度のみ高く設定するなどの目立たせ方もあります。
デザインで使える心理学⑧ベビーフェイス効果
ベビーフェイス効果とは、赤ちゃんや幼児性の特徴を持った顔が人の警戒心を解き、好感を抱かせるハロー効果の一種です。
赤ちゃんの顔を見るとついニッコリしてしまうあの現象のことです。
ベビーフェイスとはどんな顔?
ベビーフェイス効果が作用される顔の特徴には以下のようなものが挙げられます。
- 大きい目
- 丸い鼻や顔
- 身体に対して大きな頭部
- 明るく柔らかな肌
- 柔らかそうな頬
- 丸くて短い手足
- 丸みのある体型
デザインでの実践例
ベビーフェイス効果をデザインで活用するのは簡単で、赤ちゃんや童顔の女優の写真を使用するなどの手法があります。
また、イメージキャラクターをベビーフェイスの特徴をもとに作成するなどの手法もあります。
デザインで使える心理学⑨シンメトリー効果
シンメトリー効果とは、歪みのない左右や上下対称の物に対して安定感や美しさを感じて、好印象を受ける効果のことです。
シンメトリーの種類
シンメトリーには以下のようなものがあります。
- 回転対称
- 並進対称
- 線対称
- 映進対称
シンメトリーで得られる効果
シンメトリー効果を使って感じられる印象には以下のようなものがあります。
- 誠実感
- 信頼感
- 安定感
- 安心感
デザインでの実践例
シンメトリー効果を使ったデザインには以下のようなものがあります。
文字とイメージをシンメトリーに配置
画像のように文字とイメージを三角形に配置します。
重心が下の方に設定されているため、安定感が感じられます。
異なるイメージの画像を使用
シンメトリー効果を使った応用テクニックです。
画像のように異なるイメージの画像をシンメトリーに配置することで、お互いの関係性が強調されて調和のとれた印象を与えることができます。
デザインで使える心理学⑩クレショフ効果
クレショフ効果とは、複数の画像を並べられると、画像の間に何の関連性が無くても無意識に前後関係を連想して特定の解釈をする心理効果のことです。
以下で具体例を紹介します。
クレショフ効果の実践例①肉料理と家族
肉料理と家族が団らんしている写真です
家族で食事を楽しんでいるという解釈ができます。
クレショフ効果の実践例②肉料理と牧場
肉料理と牧場の写真です。
牧場で育てられた牛を使われた料理という解釈ができます。
クレショフ効果の実践例③肉料理と夜景
肉料理と夜景の写真です。
高級そうなレストランでの食事をしているという解釈ができます。
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まとめ:心理効果を上手く使おう
今回紹介したもの以外にも、デザインに活用できる心理効果はたくさんあります。
心理効果をうまく活用して、より良いデザインの制作に役立ててください。
また、この他にもデザインや心理学に関する記事を多く投稿しておりますので、気になる方はぜひご覧ください。